1 立春(2月4日)から春です。立春が過ぎても寒い日は多いですが、その様子を余寒とか春寒しという春の季語で表します。2月中は寒いから冬じゃないの、と思っている人が多いのですが、寒くても日照時間は延び、日差しは春になっています。その気になって見ると、街路樹も山野もはや芽吹きをはじめています。歳時記をみて、2月は春の句をつくりましょう。 白帆
*俳句は季節感を大事にします。季節がずれた場合、その他の事情などで掲載時期が遅れることがあります。ご諒承ください。
2 最近~2017年
紙上掲載作品
*目下書き足し中。
1 直近の第一席
●ピザを待つ親子に丸い冬の月 (岡 山) 三好ゆみこ 令8・2・8・掲載 ピザを待つ親子を照らしている月。 まるでアニメの一場面のような鮮やかな景。 寒い夜なのに、こんなにあたたかいお月様は、これまで見たことがない。
●陽の力じつくりためる冬田かな (鏡 野) 原 洋一 令8・2・1・掲載 凍てつく冬の田。 春の訪れを待つだけかと思っていたら、寒中の陽光をじっくり溜め込んでいるというのである。 大自然の力を感じさせる句である。
●寒菖蒲(かんあやめ)心の向きを問い直す (津 山) 坂手 具世 令8・1・25 掲載 自分は何を目指しているのか。 本当にこれでよかったのだろうかと、自らに問うている作者。 寒菖蒲のイメージから清楚な心うちが伝わってくる。
●ながながと夫宣(のたも)うてくさめかな (岡 山) 竹林 貞子 令8・1・18・掲載 無関心な妻を相手に、得意げに持論を展開している内に寒気を催した。 宣うての一語で家庭の状況がユーモラスに浮かび上がる。 くさめはクシャミの事。
●初電車もうすぐ海の見えてくる (岡 山) 石破ますみ 令8・1・11 掲載 新年の期待と希望を乗せて、電車は海へとまっしぐら。 旧年のしがらみから、日常の喧噪からどんどん私を引き離してゆく。 そしてもうすぐ海が見えてくる。
●畳間のパントマイムの冬木影 (岡 山) ひらの ゆう 令7・12・28 掲載 裸木となって寒風に弄(もてあそ)ばれている冬の木立。 その影が日差しを浴びた畳の上でパントマイムを始めている。 風が強ければ強いほどリズミカルに。
●父からの便りのやうな朴落葉 (美 作) 駿河 亜希 令7・12・21 掲載 落ちてきた朴の葉からいきなり父を連想。 枯れ色になった大きな葉っぱ。 筆者は母から何通も封書をもらった。 父からは日焼けしたはがき一枚のみだった。
●水鳥や山さび色に鎮もれり (美 咲) 川上 京子 令7・12・14掲載 水鳥は鴨・雁など水に浮く冬鳥の総称。 その鳥が冬枯れの景に生命を吹き込んだ。 またかな書きのさび(寂び)から色彩的な余情が感じられる。
●銀杏散る耳はラジオの英会話 (和 気) 今田 結月 令7・12・7掲載 英会話を聴いているときは全神経を耳に集中と思いきや、視線はきっちり銀杏を追っている。 受験生ではなく、文化的な暮らしのひとこまというところ。
●塗りたての屋根の上行く秋の雲 (岡 山) 大智 靖子 令7・11・30掲載 澄み切った青空に刷毛で描いたような白い雲。 塗りたての屋根との対比が鮮やか。 ちょっと危うい二者の取り合わせに、作者の茶目っ気な視線が感じられる。
●選択の結果今ありとろろ汁 (倉 敷) 岡本 保良 令7・11・23掲載 誰にも節目や岐路があり、その都度決断・選択をしてきた。 今とろろ汁を味わっているのがその結果。 確かに人生はこのような断片の積み重ねであろう。
●干し柿や朝な夕なの陽の恵み (里 庄) 重森 順恭 令 7・11・16掲載 朝な夕なとは終日のことだが、朝も夕もと区切ったところに朝は朝なり夕は夕なりの、適度な日差しという意味合いがこめられている。 干し柿の熟成はそれらの日の恵みによるのである。
連翹(れんぎょう)の道
●空港の展望デッキ螇蚸(ばった)飛ぶ (倉 敷) 守谷 妙子 令7・11・9掲載 飛行機を見る展望デッキ。そこで同じ飛ぶものでも螇蚸を登場させたのが異色。螇蚸によって空港の風景やローカル性などがほのぼのと浮かび上がってくる。
●独り居につくつくぼうしせまりくる (瀬戸内) 山﨑 典子 令7・11・2掲載 「独り居」には女の心細い暮らしぶりという含みがある。つくつくぼうしは秋の訪れを告げる親しい虫だが、独特の連続音に迫り来ると感じた作者。鳴き声があわれなどと言っている場合ではなくなった。
●壜(びん)の口吹けば鳴るなり秋山河 (岡 山) ひらの ゆう 令7・10・26掲載 子供の頃は棚板から壜まで楽器代わり。戯れに吹いてみれば懐かしい故郷の山河がよみがえったのだ。小皿叩いてチャンチキおけさの世代は壜の口も吹いた。
●菰巻いて人間くさき松の群 (岡 山) 石破ますみ 令7・10・19掲 岡山後楽園の松の菰巻(こもまき)は秋の風物詩。園路近く並んで巻かれた姿に、人間臭ささを感じるとはと思ったが、だんだんそんなふうに見えてきた。
●終戦日バッグの中で着信音 (倉 敷) 渡邊 香 令7・10・12掲載 季語とあとの内容が離れ過ぎでよく分からないという向きも。だがこのくらい離してもよいのである。この離し具合から、昔日の感が引き出されるのである。
●熱つあつのソース吸ひこむ鰺フライ (岡 山) 柴田 征子 令7・10・5掲載 揚げたての鰺フライ。熱々の衣(ころも)はもちろんパリパリの黄金色。近頃ハイカラなソースが幅を利かせているようだが、やっぱりあの濃い口ソースですよ。


