第一席寸評抄 朝日新聞 岡山俳壇 ― 選評 大倉白帆 1 「 弥生 (やよい) 」は陰暦3月の異称で、草や木がいよいよ生い出るという意味の名称です。日照時間が長くなってくると、虫やカエル、蛇などはいち早くキャッチして土中や穴から出てきます。山笑うという季語 、大らかな気分で山を眺めたら実感することでしょう。4月は「卯月 (うづき) 」、卯の花が咲き始めたら、もう初夏の兆しです。季節の移ろいを感じ取って、俳句をつくりましょう。 白帆 * 俳句は季節感を大事にします。季節がずれた場合、その他の事情などで掲載時期が遅れることがあります。ご諒承ください。 2 最 近~2017年 紙上掲載作品 *目下書き足し中。 1 直近の第一席 ● 冬あかね伊賀上野城つつみこむ (倉 敷) 守谷 妙子 令8・3・22・掲載 忍者の里と言われる伊賀は山深い盆地である。低地へ突き出た台地の先端に城が立っているので、城郭が夕日を一身に浴びてたたずむ景となる。 ● 厳寒の底より立ちし槍ヶ岳 (玉 野) 三好一彦 令8・3・15・掲載 槍ヶ岳は三千㍍を越える高山で、頂は鋭く尖っている。厳寒の底よりという表現は、風景描写というより、大自然の根源的エネルギーの表白というべきか。 ● 冬日差旧梶村家躙り口 (鏡 野) 藤田 明子 令8・3・1・掲載 茶室の躙り口は縦横70㎝足らずの開口で、客人はくぐって入る。日常を離れた異空間へ射し込む冬日差し。わずかな入口だけの明暗がひときわ厳しい。 ● 柊の花吹き零 (こぼ) す丘の風 ...