第一席寸評抄 朝日新聞岡山俳壇 ―― 選評 大倉白帆 1 直近の(当月~前月の抜粋)作品 ―― 令和7年は1月12日(日)が最初の掲載日。今回と次回は初春 (はつはる) を飾る作品が多く選ばれた。〈 初明りして島の影橋の影 〉本年第一回は瀬戸内の初日 (はつひ) から始まった。順次投句が届いており、心を引き締めつつ、本年も皆さまの作品を楽しみにお待ちしております。 2 最 近~2017年の紙上掲載作品 *目下書き足し中。 1 直近の第一席 ● 珈琲はエルサルバドル桐の花 (赤 磐) 枡田つやこ 令7・7・13掲載 中米の小国エルサルバドル。高地栽培の珈琲は酸味がマイルドで後味がスッキリとか。そこに忽然 (こつ ぜん) と古典的風情を帯びた桐の花が付けられた。 そのとたん、また別の気高い香りが漂よい始めた。 ● 蔓 (つる) バラの門潜るたび若返る (玉 野) 木村 雅子 令7・6・掲載 蔓 バラをからませた門。通行人にも楽しみな季節である。まして咲かせた本人は日に何度も出たり入ったり。若返るという気持ち、分かります。 ● 人違ひされるもご縁星祭 (岡 山) 曽根ゆうこ 令7・6・29掲載 ご縁と言うところ、表向きは別として内心まんざらでもないご様子。きっといい男だったのだろ う。星祭ならではのちょっと愉 (たの) しい人違い。 ● 力まずに余生送らむ捩り花 (岡 山) 和田 大義 令7・6・22掲載 細い茎に巻きついて咲き上がる捩り花。その格好に自分の生き様が重なったのかも知れない。穏やかに、と時々思いながら暮らせばよい結果を得るだ...
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会報「俳句クラシック」
会報 『 俳句クラシック 』 昭和・平成・令和を生きる現代作家の軌跡――。 趣意 既発表作品を中心に、各人の作品記録を主眼とします。 1 投稿について ●特別作品 (会より依頼) 既発表作品を中心に、依頼のテーマなどに添って投稿してください。俳句の場合、通常3~10句です。 ● 一般投稿 (投句など) ■ 結社・句会等に所属していない人 :所定の応募要領に沿って投句してください。一定の基準に添い「会報」または当ブログに掲載します。掲載に至らないものについては適宜助言等いたします。 ■ 結社・句会等に所属している人 :作品投稿時に所属を明記のこと。作品掲載は原則一年以上後になります。 2 地域作家紹介・句会紹介 3 季語を考える 4 蕉風俳諧について・ほか 2024年秋 編…募集中。作品掲載は2024年11月末頃の予定。 「会報」+「ブログ」―― 『俳句クラシック』 2024夏の一句 暁や白帆過ぎゆく蚊帳の外 子規 (あかつきやしらほすぎゆくかやのそと しき ) 以後、写真などまじえ順次掲載となります。ご期待ください。 千手山広方寺山門とサルビア
さあ海原へ ―― 白帆の十句選 令和2年11月 ■ 白梅句会 海鳴りを被る国道秋遍路 徳子 海鳴りは音だが被(かぶ) るという措辞で、潮(うしお)を被るような臨場感が生まれた。海岸沿いの国道 というスチィエーションもよい。 十日夜行き先捜す救急車 一航 田から山へ神様がお帰りになる日、十日夜(とお かんや・陰暦10月10日)。頼にもよってそんな日に、行き先がまだ決まらない救急車。 渓流の音に木々の葉染まりゆく かすみ 紅や黄に渓谷を彩る様々な木々。清らかな流れのその響きが相俟って、得も言われぬ彩りを染めてゆく。 古池や満月見あぐ鮒なまづ 陽陽空 寂びの象徴古池と花鳥風月の月に対して「鮒(ふな)なまづ」 と付けたところが俳諧。読者は、古池や蛙…の先行句を下重ね に、鮒となまづの月夜の静寂を思い描くことだろう。 杉玉の緑馨し今年酒 登 「芳しい」はしばしば目にするが…。馨(かぐわ)しの読みが、杉玉の緑をより新鮮に感じさせる。 様々なもみぢの集ふ吹きだまり 千都子 もみぢと言っても楓・櫨・蔦・銀杏・柿……と。さらに大小様々、綺麗な葉から枯葉まで。それらが集っていると捉えたところに独自の視線が感じられる。 鵯鳴くや百歳体操いちに...
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