第一席寸評抄 朝日新聞 岡山俳壇 ― 選評 大倉白帆 1 直近(当月~前月の抜粋)作品 本年も秋から冬へと移る頃となりました。暑い日が続きましたので、今も夏の俳句が多く届いています。ハガキを受け取ってから掲載までは早くても一ヶ月以上の日数がかかります。現在10月ですので、秋の句そして12月には冬以降の句をお願い致します。皆さまの作品を楽しみにお待ちしております。 令和7年10月7日 白帆 2 最 近~2017年 紙上掲載作品 *目下書き足し中。 1 直近の第一席 ● 空港の展望デッキ螇蚸 (ばった) 飛ぶ (倉 敷) 守谷 妙子 令 7・11・9掲載 飛行機を見る展望デッキ。そこで同じ飛ぶものでも螇蚸を登場させたのが異色。螇蚸によって空港の風景やローカル性などがほのぼのと浮かび上がってくる。 ● 独り居につくつくぼうしせまりくる (瀬戸内) 山﨑 典子 令7・11・2掲載 「独り居」には女の心細い暮らしぶりという含みがある。つくつくぼうしは秋の訪れを告げる親しい虫だが、独特の連続音に迫り来ると感じた作者。鳴き声があわれなどと言っている場合ではなくなった。 ● 壜 (びん) の口吹けば鳴るなり秋山河 (岡 山) ひらの ゆう 令7・10・26掲載 子供の頃は棚板から壜まで楽器代わり。戯れに吹いてみれば懐かしい故郷の山河がよみがえったのだ。小皿叩いてチャンチキおけさの世代は壜の口も吹いた。 ● 菰巻いて人間くさき松の群 (岡 山) 石破ますみ 令7・10・19掲 岡山後楽園の松の菰巻 (こもまき) は秋の風物詩。園路近く並んで巻かれた姿に、人間臭ささ...
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会報「俳句クラシック」
会報 『 俳句クラシック 』 昭和・平成・令和を生きる現代作家の軌跡――。 趣意 既発表作品を中心に、各人の作品記録を主眼とします。 1 投稿について ●特別作品 (会より依頼) 既発表作品を中心に、依頼のテーマなどに添って投稿してください。俳句の場合、通常3~10句です。 ● 一般投稿 (投句など) ■ 結社・句会等に所属していない人 :所定の応募要領に沿って投句してください。一定の基準に添い「会報」または当ブログに掲載します。掲載に至らないものについては適宜助言等いたします。 ■ 結社・句会等に所属している人 :作品投稿時に所属を明記のこと。作品掲載は原則一年以上後になります。 2 地域作家紹介・句会紹介 3 季語を考える 4 蕉風俳諧について・ほか 2024年秋 編…募集中。作品掲載は2024年11月末頃の予定。 「会報」+「ブログ」―― 『俳句クラシック』 2024夏の一句 暁や白帆過ぎゆく蚊帳の外 子規 (あかつきやしらほすぎゆくかやのそと しき ) 以後、写真などまじえ順次掲載となります。ご期待ください。 千手山広方寺山門とサルビア
さあ海原へ ―― 白帆の十句選 令和2年11月 ■ 白梅句会 海鳴りを被る国道秋遍路 徳子 海鳴りは音だが被(かぶ) るという措辞で、潮(うしお)を被るような臨場感が生まれた。海岸沿いの国道 というスチィエーションもよい。 十日夜行き先捜す救急車 一航 田から山へ神様がお帰りになる日、十日夜(とお かんや・陰暦10月10日)。頼にもよってそんな日に、行き先がまだ決まらない救急車。 渓流の音に木々の葉染まりゆく かすみ 紅や黄に渓谷を彩る様々な木々。清らかな流れのその響きが相俟って、得も言われぬ彩りを染めてゆく。 古池や満月見あぐ鮒なまづ 陽陽空 寂びの象徴古池と花鳥風月の月に対して「鮒(ふな)なまづ」 と付けたところが俳諧。読者は、古池や蛙…の先行句を下重ね に、鮒となまづの月夜の静寂を思い描くことだろう。 杉玉の緑馨し今年酒 登 「芳しい」はしばしば目にするが…。馨(かぐわ)しの読みが、杉玉の緑をより新鮮に感じさせる。 様々なもみぢの集ふ吹きだまり 千都子 もみぢと言っても楓・櫨・蔦・銀杏・柿……と。さらに大小様々、綺麗な葉から枯葉まで。それらが集っていると捉えたところに独自の視線が感じられる。 鵯鳴くや百歳体操いちに...


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