第一席寸評抄 朝日新聞 岡山俳壇 ― 選評 大倉白帆 1 待ちわびていたはずなのに、落ち着いて桜を眺めることもなく花のシーズンが終わった……。こんな気持ちの高齢者は案外多いのかも知れない。鶯の澄んだ鳴き声に続き、早やほととぎすが鳴き始め、初夏の訪れの近いことが若葉や風からも伝わってきます。季節の移ろいを見つけると、きっと喜びを感じることでしょう。 * 俳句は季節感を大事にします。季節がずれた場合、その他の事情などで掲載時期が遅れることがあります。ご諒承ください。 2 最 近~2017年 紙上掲載作品 *目下書き足し中。 1 直近の第一席 ● 貴賓席めくや紫クロッカス (赤 磐) 桝田つやこ 令8・4・5・掲載 クロッカスやムスカリは垂直方向に咲き上がり、紫色は高貴でエレガント。ひとかたまりになった様子は、たしかに貴賓席のイメージである。 ● 逃げ出した鬼も出て来て豆をまく (岡 山) 柴田 征子 令8・3・29・掲載 子供達にとって鬼は相当怖い存在。それをやっつけて喜んだあと、今度はその鬼が豆を撒いてくれてまた大喜び。楽しくて嬉しい豆撒き会場。 ● 冬あかね伊賀上野城つつみこむ (倉 敷) 守谷 妙子 令8・3・22・掲載 忍者の里と言われる伊賀は山深い盆地である。低地へ突き出た台地の先端に城が立っているので、城郭が夕日を一身に浴びてたたずむ景となる。 ● 厳寒の底より立ちし槍ヶ岳 (玉 野) 三好一彦 令8・3・15・掲載 槍ヶ岳は三千㍍を越える高山で、頂は鋭く尖っている。厳寒の底よりという...