第一席寸評抄 朝日新聞岡山俳壇 ―― 選者 大倉白帆 1 直近(前月および当月抜粋)の作品 ―― 令和7年は1月12日(日)が最初の掲載日。今回と次回は初春 (はつはる) を飾る作品が多く選ばれた。〈 初明りして島の影橋の影 〉本年第一回は瀬戸内の初日 (はつひ) から始まった。順次投句が届いており、心を引き締めつつ、本年も皆さまの作品を楽しみにお待ちしております。 2 最 近~2017年の紙上掲載作品 *目下書き足し中。 1 直 近 ● 正月や磨けば光る古道具 (備 前) 石谷 みち女 令7・1・19掲載 年が改まれば全てが一新する、と思いたいが実際には人も道具も年々古くなる。磨けば光るには救われるが、この古道具、我々のことかも…と、つい深読み。 ● 初明りして島の影橋の影 (倉 敷) 梅田 光憲 令 7・1・12掲載 この年この世に差す初めての光を浴び、身も心も引き締まる。広がる海の、島や橋もその影によって際立ってゆく――、初明りならではの景観である。 ● 白黒のモダンタイムス紅葉散る (玉 野) 三好 一彦 令 6・12・22 チャプリンのモダンタイムスは白黒 (モノクロ) 映画だった。艶 (あで) やかな紅葉も当然白黒だが、観衆はたちまち燃える紅葉を連想した。…俳句鑑賞もこうありたい。 ● 短日や立てて売らるる海老フライ (岡 山) ひらの ゆう 令 6・12・15 カラッと揚げ、油を切るために立てて並べる―、のかどうか筆者は知らない。見たこともない。日が短くなった暮れ方、理由を尋ねる人もいない。 ● 階 (きざはし) を為す走り根や萩の花 ...
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